「古い価値観にとらわれない女性像」をブランドポリシーに、様々な革新的ファッショントレンドを生み出してきたCHANEL。
各界のセレブリティをいつの時代も魅了し続けるブランド界の永遠のNO.1、その歴史をアイテムと共にご紹介します。

CHANELを語る上で外せないのが、2人のヘッドデザイナー。1人は言わずと知れたココ・シャネル、CHANELの創業者です。それまでのファッションデザイナーと違い孤児院・修道院で育った彼女は、自分の力でブランドを立ち上げ、成功への道を切り開きました。また、恋愛にも自由奔放で、恋人からのインスピレーションを積極的にデザインに反映させていきます。
その姿は自立した現代女性の憧れであり、サクセスストーリーとともに多くの書籍や映画で語り継がれています。
そしてもう1人は、モードの皇帝と呼ばれているカールラガーフェルド。ココ・シャネル亡き後、低迷を続けていたCHANELを救ったのが、ラガーフェルドでした。彼は「ストリートファッションをエレガントに表現する」という独特なクリエイティブ観の持ち主で、低俗化しかけたCHANELブランドに対して、ココ・シャネルの思考を自身で解釈し抜き、新しいCHANELを再定義しました。つまり、古いアイデアは捨てつつ、ココ・シャネルのデザインの本質を守ることで、フレッシュで華やかなCHANELを復活させたのです。
歴史は刻めど、この2人の巨頭がポリシーを守り続けることで、CHANELは一貫したブランド体験を世の女性に贈り続けています。
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1910年 パリ1区カンボン通りに帽子専門店「シャネル・モード」を開店
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1910年頃 カメリア
カメリアは、ココ・シャネルが最も愛した白く美しい椿の花。
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最愛の恋人カペルからプレゼントされた花と言われ、コサージュやドレス、アクセサリーと様々なアイテムに用いられ、絶大な人気を集めました。
今もなお、シンプルな美しさを象徴するシャネルのトレードマークとして、クチュールのインスピレーションの源になっています。 -
1924年 ツイード
ココ・シャネルが、当時の愛人ウエストミンスター公のワードローブにあったスコットランド製のツイードに惚れ込み、
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自身のブランドに取り込んだツイード。その力の抜けたエレガンスや、赤や紫などの鮮やかな糸を織り込んだ色彩センスも当時の常識を覆しました。 -
1927年 コスチュームジュエリー
石や金属そのものではなく、ファッション美としてデザイン性に価値を持たせたコスチュームジュエリーは、 自由や自立を求める女性たちに自信を与えるアイテムとして支持されました。
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素材自体が高価なファインジュエリーに対して「イミテーションジュエリー」は以前より存在していましたが、
それらの偽物・安物というイメージを払拭し、プライドを持って身につけられる
「コスチュームジュエリー」として新しい概念を打ち出したのです。
財力に左右されない遊び心あふれるアイテムは、シャネルジュエリーのヘッドデザイナーとして任命されたDuke Fulco di Vedura(デューク)により生み出されました。”シャネル・マルタ・クロス・カフス”などがその代表です。 -
1928年 シャネルスーツ
ココ・シャネルが45才の時に、後にモード・オスカー賞を受賞したシャネルスーツの原型であるツイードのスーツが作られました。「活動的な女性のために作られた服」と表したそのジャケットは、裏打ちをせず直線的に仕上げられ、裁断と縫製のみで美しいシルエットを実現しました。着たときにストンとラインが美しく落ちるよう、シルクのライナーには繊細なチェーンを縫い込む工夫も施されています。
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それまで、コルセットでウエストを締め上げることにうんざりしていた女性たちは、エレガントであるにもかかわらず快適に動けるシャネルスーツに飛びつきました。
ブリジット・バルドーやグレース・ケリーといった大女優たちもこぞって愛用していましたが、奇しくもジョン・F・ケネディ大統領暗殺時に夫人ジャクリーン・ケネディがピンクのシャネルスーツを着用していたことが、このスーツを全世界的に広めるきっかけになりました。
後にCHANELのヘッドデザイナーに就任するカール・ラガーフェルドは、このシャネルスーツのことを「ファッションの洪水」と表現し、世界に与えた影響を称賛しています。 -
1929年 マトラッセ
「マトラッセ」とはフランス語でキルティングを意味する言葉です。ふっくらとした格子柄のデザインは、
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バックや財布、時計など幅広いアイテムに展開されているCHANELのアイコンコレクション。
今でこそエレガントな印象のデザインですが、もともとは型崩れを防ぐためにポーチに施された縫い合わせだったのです。
しかしそれ故に生地に陰影が生まれ、実際よりも鮮やかな色合いに見える加工となりました。
ココ・シャネルらしい機能性とデザイン性を併せ持つマトラッセ、ブランドロゴが入っていなくてもCHANELを連想させるラインは、素材もカーフスキン、ラムスキン、キャビアスキン、キャンバスと多種に渡っています。 -
1931年 映画の衣装製作のためハリウッド進出
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1939年 一時引退
ストライキと第二次世界大戦により、ココシャネルがファッション界を一時引退。
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1954年 ファッション界へ復帰
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1955年 2.55
1929年に誕生したマトラッセが、ハトメ付きショルダーチェーンをまとって新たな定番「2.55」として登場。名前の由来は(19)55年2月に発売されたから。革紐にタフなチェーンを組み込んで、バッグから両手を開放しただけでなく、ラブレターを忍ばせるための隠しポケットを施すなど、「自由な女性のためのバッグ」として完成されたデザインは、瞬く間に世界中で人気となりました。
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カトリーヌ・ドヌーヴやブリジット・バルドーなどフランスの大女優も常に持ち歩いたこの“IT BAG”。現在でも次々と素材やディテールを進化させ、新しいデザインを生み出すことでコレクション心も刺激される、熱狂的NO.1指名アイテムです。 -
1957年 バイカラーシューズ
女性の靴は、当時ファッションに合わせた一色使いが常識でした。しかし数々の新常識を生み出してきたココ・ シャネルは、昼も夜もどの装いにもマッチし、脚を長く見せてくれるベージュとブラックのバイカラースリングバックシューズを提案します。
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5cmのスクエアヒールの実用性は言わずもがな、ブラックのつま先はすり減りやすい先端をカバーし、足を小さく見せるという効果も。
こうして「新しいシンデレラのガラスの靴」はまたエレガンスの概念を再定義したのです。 -
1971年 ココ・シャネル死去
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1983年 カール・ラガーフェルドがアートディレクターに就任
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1987年 プルミエール
プルミエールは、フェミニンなチェーンブレスレットと、ヴァンドーム広場の形を元に作られた八角形のケース、
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その中の数字のないシンプルな文字盤が特徴の腕時計。
CHANEL初の腕時計で、ジャック・エリュがデザインしたものです。
フランス語で「第一の、最初の」を意味するPremiereは、当時メンズウォッチの縮小版でしかなかったレディースウォッチを、シンプルで洗練された女性のためのものとして昇格させました。
カール・ラガーフェルドがヘッドデザイナーに就任しても、
ココ・シャネルの自由な女性のためのものづくりという本質が踏襲されていることを現す圧倒的なアイテムとなりました。 -
2000年 J12
J12は、プルミエールと同様ジャック・エリュによるデザインですが、プルミエールとは全く対象的に、セラミック製・200m防水・自動巻き、そしてメンズウォッチというCHANELとして初の試みを重ねたアイテムです。
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特に、時計にオールブラックのセラミック素材を用いることは、技術とデザインの両側面においても革新的でした。軽くて丈夫なセラミックは、その後の時計業界にも浸透していきました。
また、男性が使えることをアピールするために、広告ではヨットなど男性の趣味をイメージさせる背景が多用されました。
2003年にはホワイト、2011年にはチタンセラミックのモデルが発売されています。 -
2002年 子会社パラフェクション設立
職人の技術を守るため、8社のアトリエをパラフェクションの傘下に収める。
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2004年 カンボンライン
CHANELが初めてお店を開いたパリのカンボン通りにちなんで名付けられたカンボンラインは、それまでのエレガントなイメージではなく、マトラッセに大きなココマークの入ったキュートなデザイン。
マークのインパクトだけでなく、ピンク×ブラックなどのビビットな配色から、特に若い世代で人気に火が付きました。マトラッセと同様に、バッグ、財布、ポーチ、時計と様々なアイテムに展開されています。 -
2011年 ボーイシャネル
弾薬保管用のバッグにインスパイアされたとされるボーイシャネルは、そのルーツからも推測できるように、クールでマニッシュなテイストに仕上がっています。
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多くのメンズテイストをデザインに取り入れてきたココ・シャネルは、性格もボーイッシュな一面がありました。デザイナーのカール・ラガーフェルドは、彼女のスピリットを今もなおリスペクトし継承し続けています。
「BOY CHANEL」というネーミングは、そんなマドモアゼルに対するオマージュでもあるのです。
従来のスピリットはそのままに、冒険的な布石を投じたデザインは、例えばゴールドやシルバーが多かったバッグの金具にガンメタカラーを取り入れるなど、今までのシャネルとは一線を画す辛口テイストに仕上がっています。 -
2015年 ガールシャネル
ガールシャネルは、フロントボタンやポケット、襟のパイピングをあしらった、まるでジャケットのようなバッグ。ジャケットと同様アトリエの職人が一部製作しており、表だけでなく裏まで仕立てたりと細部へのこだわりも詰め込まれています。
ショルダーバックですが、肩に掛けたり腰に巻くこともできる遊び心あふれるデザインは、さすが天才カール・ラガーフェルド。特にココ・シャネルのエスプリを感じるツイードのガールシャネルは必見です。 -
・・・Et maintenant.
