2025.5.21

ロレックスのムーブメントの種類を紹介!「Cal.3235」などの傑作ムーブメントについても徹底解説

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高級腕時計ブランドのひとつであるロレックスは品質の高さと独自の技術が大きな魅力であり、腕時計の核となるムーブメントにも強いこだわりを持っています。ムーブメントは腕時計の精度やパワーリザーブに関わる非常に重要なパーツであり、ロレックスはこのムーブメントの発展とともに成長してきたと言っても過言ではありません。本記事ではロレックスのムーブメントの種類や歴史、内部機構などについて詳しく紹介していきます。

腕時計のムーブメントとは?

腕時計におけるムーブメントとは腕時計を動かすための内部機構のことで、腕時計の心臓部分とも言える重要なパーツです。腕時計のムーブメントには自動巻き式や手巻き式、クォーツ式などがあり、仕組みや精度が種類によって大きく異なります。ここでは、ムーブメントの種類ごとの特徴について詳しく紹介します。

自動巻き式:現行の腕時計で幅広く採用されており、着用時の腕の振動によって自動でゼンマイが巻かれる

自動巻き式は、腕時計を装着しているときの振動によってゼンマイが自動的に巻き上がる仕組みです。つまり、日常的に着用していれば自動でゼンマイが巻き上がるため時間が狂いにくく、トラブルが起こらない限りは半永久的に時計を動かし続けることができます。手でゼンマイを巻き上げる必要がないというメリットがある一方で、非常に複雑な機構で使用されるパーツが多いため、腕時計本体のサイズが大型化してしまうというデメリットがあります。

手巻き式:機械式腕時計の始まりとされており、スリムなデザインで着け心地が軽い

手巻き式は腕時計の側面にあるリューズを手で回すことによってゼンマイが巻き上がり、そのゼンマイが元に戻ろうとする力が動力となっています。手巻き式時計は機械式腕時計の始まりとも言われており、ロレックスにおいては1930年代までは手巻き式時計がスタンダードでした。自動巻き機構である「パーペチュアル」が開発されてからは自動巻き式が主流になりましたが、中古市場において今なお根強い人気を誇っています。ゼンマイを定期的に巻き上げる必要があるものの、自動巻き式ほど構造が複雑でなく着け心地が軽いというメリットがあります。

クォーツ式:電池が動力となっており、機械式時計よりも構造がシンプルで精度が高い

クォーツ式時計には電池が搭載されており、電気エネルギーによって水晶(クォーツ)を振動させて時計の針を動かす仕組みです。ゼンマイを使った機械式と比べて時間が正確であり、一般的には月差20秒前後と言われています。ロレックスがクォーツ式を生産していたのは1977年から2000年ごろで流通量自体はそれほど多くないものの、機械構造がシンプルなために複雑性や芸術性に欠け、資産価値がつきにくいという側面もあります。

ロレックスはかつてETA社製のムーブメントを使用していた

ロレックスは現在ムーブメントを自社で生産していますが、創業当初はETA社が作ったムーブメントを多くのモデルで採用していました。スイスのETA社は業界最大手のムーブメントメーカーであり、1990年代にはスイス産の時計のほとんどがこのETA製ムーブメントを搭載していたと言われるほどです。

ロレックスのように自社でムーブメントを完全生産しようとするとどうしてもコストがかかってしまいますが、ETA社のムーブメントは品質が高いうえに生産性にも優れており、現在においても多くの高級腕時計ブランドでETA社製のムーブメントが採用されています

ロレックスのムーブメントの特徴や魅力は?

ロレックスのムーブメントは機構や素材にこだわっており、ロレックスの技術力の高さが随所に表れています。ここでは、ロレックスのムーブメントの特徴や魅力について詳しく紹介します。

フリースプラングテンプ:ヒゲゼンマイに直接当たらないため、部品の摩耗が少ない

ムーブメントのなかで特に重要なパーツのひとつであるテンプは、ゼンマイから伝わってくる力をコントロールするという役割があります。ロレックスはこのテンプ部分に緩急針を省いた「フリースプラングテンプ」を採用しており、ヒゲゼンマイに直接触れないような構造となっています。1秒間に8振動という高速振動をするヒゲゼンマイは触れるものがあるとどうしても摩耗してしまいますが、「フリースプリングテンプ」はヒゲゼンマイに接触しないため摩擦による劣化を防ぐことができます

ツインブリッジ:テンプを支えるためのパーツで、テンプへの衝撃を緩和している

テンプを2本のネジで左右からしっかりと支えているパーツが「ツインブリッジ」ですが、多くの腕時計では1本のネジで固定する「シングルブリッジ」が使用されているのが一般的です。テンプは非常に繊細な部品であり、負荷や衝撃によって故障してしまうことがあるため、「ツインブリッジ」によって左右両側からテンプを支えることで負荷や衝撃を極力小さくする構造となっています。

パラフレックスショックアブソーバー:テンプを外部の衝撃から守る耐震装置で、耐衝撃性が非常に高い

ロレックスが独自に設計開発し、2006年に特許を取得した「パラフレックスショックアブソーバー」は外部の振動や衝撃からテンプを守るための耐震装置です。従来の「インカブロック」といった耐震装置と比較して耐衝撃・耐震性能が大きく向上しており、外部から衝撃が加わった際のテンプをより安定して動かせるようになっています。

巻き上げヒゲ:ムーブメントの核となる部品のひとつで、ロレックスの高い精度を維持するために欠かせない

ムーブメントの核とも言えるヒゲゼンマイは多くの腕時計で「平ヒゲゼンマイ」というものが使用されていますが、ロレックスでは多くのモデルで「巻き上げヒゲ」が採用されています。この「巻き上げヒゲ」はテンプの左右の動きをより均等に動かすことができるという特徴があり、業界トップクラスの精度の高さを誇るロレックスに無くてはならないパーツです。

レッドアルマイト処理:リバーシングホイールの摩耗を抑えるために、アルミニウムを硬化している

ロレックスのムーブメントには「リバーシングホイール」という歯車が2つあり、耐久性を高めるための「レッドアルマイト処理」が施されています。ローターの動きをゼンマイに伝える「リバーシングホイール」は摩擦で経年劣化が生じやすいという課題がありましたが、アルミニウムに「レッドアルマイト処理」を施すことで耐久性を強化することに成功し、「リバーシングホイール」の摩耗を最小限に抑えられるようになっています。

人工ルビー:高い硬度を持つルビーを歯車の軸に使用することで耐久性を高めている

ロレックスのムーブメント内にある歯車の軸部分には、硬度の高い「人工ルビー」が使用されています。歯車が回転し続けていると軸と接触する部分が摩耗してしまいますが、ダイヤモンドに次ぐ硬度を持つと言われるルビーを歯車との接地面に使用することで摩耗を少なくし、スムーズに動力を伝達できるようになっています。

垂直クラッチ:歯車同士をしっかり噛み合わせることでクロノグラフが正確にスタートできる

2000年に発表されたロレックス初の自社製クロノグラフムーブメント「Cal.4130」では従来の「水平クラッチ」ではなく「垂直クラッチ」が新たに採用されました。ストップウォッチ機能のあるクロノグラフムーブメントの内部には3針を動かす歯車に加え、クラッチと呼ばれる歯車の動力を伝達する装置があります。

このクラッチが水平に配置されている「水平クラッチ」はムーブメントの内部構造を綺麗に見せることができますが、歯車がうまく噛み合わないとクロノグラフが正常にスタートできないことがあります。一方、2つの歯車が重なるように垂直にセットされた「垂直クラッチ」は歯車同士がズレることなく綺麗に噛み合うため、針飛びなしでクロノグラフがスタートできます

ロレックスのムーブメントの種類は?

ロレックスは「Cal.1000系」から「Cal.3200系」に至るまで様々なムーブメントを生み出してきました。ここでは、ロレックスのムーブメントの種類について詳しく紹介します。

Cal.3200系:多くの最新技術が結集した新型ムーブメントで、70時間のパワーリザーブと精度の高さが魅力

「Cal.3200系」は「Cal.1500系」から引き継がれてきた仕様を大きく変化させ、現代の最新技術を多数取り入れているのが特徴です。「Cal.3100系」と比較してムーブメントの軽量化にも成功しており、パワーリザーブは48時間から70時間に延長され基本精度は2倍となっています。

・Cal.3235…2015年から採用されている3針ムーブメントで、主に「サブマリーナ デイト」や「ヨットマスター」「デイトジャスト」などに搭載されています。従来品より耐磁性や耐振性が強化され、日差±2秒の高精度を実現。さらに、20時から翌4時までの日付変更禁止時間がなくなり、時間に関係なく日付の早送りが可能となりました。

・Cal.3255…2015年に登場した「デイデイト」専用の3針ムーブメントで、公式クロノメーターの認定基準の約2倍の精度をキープすることが可能。時間の精度をキープする役目のある脱進機には耐磁性の高い「クロナジー・エスケープメント」が採用され、パワーリザーブが70時間まで延長されました。

・Cal.3285…2018年に発表された完全自社開発のムーブメントで「GMTマスターⅡ」や「エクスプローラーⅡ」に搭載。ロレックスの数あるムーブメントのなかで唯一、短針が独立して動くようになっています。

Cal.3100系:Cal.1500系の後継機にあたるムーブメントで、1988年から2023年までの長期にわたって搭載される

「Cal.3100系」は「Cal.1500系」の後継ムーブメントとされています。耐震装置である「パラフレックス ショックアブソーバー」や様々な金属の合金である「ブルーパラクロムヒゲゼンマイ」が搭載されたことで耐衝撃性や耐磁性がアップし、カレンダーの単独調整も可能となりました。

・Cal.3135…「Cal.3130」を改良したムーブメントで、定期的なメンテナンスを怠らなければ半永久的に使えると称される名機です。「サブマリーナ」や「デイトジャスト」といったロレックスの多くのモデルに搭載されています。

・Cal.3131…高い耐磁性能を備えた「ミルガウス」に搭載されており、ニッケルとリンの合金を使用することで耐磁性を高めています。また、「ブルーパラクロムヒゲゼンマイ」によって耐衝撃性も強化されています。

・Cal.3132…2010年に登場した「エクスプローラーⅠ Ref.214270」などに搭載されており、「パラフレックス ショックアブソーバー」や「ブルーパラクロムヒゲゼンマイ」によって耐衝撃性や耐磁性が向上しています。

・Cal.3187…「Cal.3186」の後継機として2011年に誕生したムーブメントで「エクスプローラーⅡ Ref.216570」に搭載。時針の単独操作が可能で、「Cal.3186」よりも耐震性がアップしています。

Cal.1500系:現行の自動巻きムーブメントの土台を築いた名品で、耐久性の高さが大きな魅力

1950年代の後半に登場した「Cal.1500系」は現行ムーブメントのルーツとなっており、自動巻きムーブメントの祖とされています。自動巻き専用として開発され、無駄な厚みを排除したコンパクトな設計となっています。

・Cal.1570…1960年代半ばから1980年代後半ごろまで製造されていたムーブメントで、「エクスプローラー」や「サブマリーナ」に搭載されていました。「巻き上げヒゲゼンマイ」によって高い精度を維持することができ、リバーシングホイールを「レッドアルマイト処理」することで摩耗にも強くなっています。

・Cal.1575…主に1970年代から1980年代のデイトモデルに搭載され、「エクスプローラーⅡ」や「GMTマスターⅠ」に採用されていました。「フリースプラングテンプ」によって時計の精度をより長く維持できるようになっており、耐久性やメンテナンス性の高さも評価されています

Cal.1200系:厚みのない手巻きムーブメントで、耐久性やメンテナンス性に優れる

「Cal.1000」をベースとした「Cal.1200系」はロレックスの手巻きムーブメントのなかで傑作と言われているもののひとつで、1950年から1980年代までの長期にわたって生産されてきました。また、「Cal.1200系」は精度や耐震性、メンテナンス性などに優れており、長い時間を経た個体でもメンテナンスを欠かさなければ正常に動き続けるとされています。特に「Cal.1225」は自動巻きローターのないスリムな設計でメンテナンス性が高く、「オイスターデイト Ref.6694」といった人気の高い手巻きモデルで採用されています。

クロノグラフ(Cal.4130など):ストップウォッチ機能が特徴的で、2000年からは完全自社開発が可能に

クロノグラフはストップウォッチ機構が搭載されたムーブメントで、2000年に完全自社開発の「Cal.4130」を発表するまではゼニス社の「エル・プリメロ」を改良して使用していました。2007年には最大で10分のカウントダウン機能を備えた「レガッタ・クロノグラフ」を独自開発し、ロレックスの技術力の高さを改めて証明することとなりました。

・Cal.72B…バルジュ―社の「Cal.72」をロレックスが独自で改良したもので、1960年代前半から1960年代半ばまで製造。「プレデイトナ」や「コスモグラフデイトナ」の第1世代に搭載されています。

・Cal.722-1…「Cal.72B」のマイナーチェンジ版として製造されたムーブメントです。「Cal.72B」とは異なり、12時間計を動かすための「コンベアースプリング」が採用されています。

・Cal.727…「Cal.722-1」の後継機で「コスモグラフデイトナ」の第2世代と第3世代に搭載されました。テンプを小型化して振動数を上げることで精度を向上させており、耐震装置であるKIF社製の「キフ・ウルトラフレックス」を採用することで、縦方向の振動に強くなっています

・Cal.4030…ゼニス社の「エル・プリメロ Cal.400」を改良して製造されたもので、振動数をあえて落とすことでムーブメントの耐久性を向上させています。

・Cal.4161…「ヨットマスターⅡ」専用として開発された「レガッタ・クロノグラフ Cal.4160」のマイナーチェンジ版で、10分から1分の間までをカウントダウンできる機能を持っています。本体の「リングコマンドベゼル」と連動しているため、ベゼルを操作するだけでオンオフの切り替えが可能です。

年次カレンダー(Cal.9001):スカイドゥエラーに搭載されており、ロレックスで最も複雑なムーブメント

「Cal.9001」はロレックスで最も複雑とされるムーブメントで、2月以外は自動で日付が更新される年次カレンダーという機構(サロスシステム)が搭載されています。2012年に登場した「スカイドゥエラー」で初めて採用され、「リングコマンドシステム」によってカレンダー・ローカルタイム・ホームタイムをリューズで簡単に変更できます。

ロレックスのムーブメントには様々な種類があり、他社のものを使用していた時期もある

ロレックスのムーブメントには特許を取得するような独自の技術や仕組みが多数取り入れられており、マイナーチェンジやアップデートを繰り返しながら今日まで進化してきました。 現行モデルでは完全自社製のムーブメントが使用されていますが、かつてはバルジュー社やゼニス社といった他社製のムーブメントを改良して使用していた時期もあります。ムーブメントを自社で一貫して製造することでほかのブランドでは真似できない高精度のムーブメントを多数生み出しており、ムーブメントはロレックスの技術力の高さを語るうえで欠かせない存在と言えるでしょう。

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